修理実例

古い置時計

今回来た修理は、セイコーのゼンマイ式置時計です。時間が来るとオルゴールで「君が代」のメロディーが鳴り出します。
実は、この機種は今年で2回目、別のお客様ですが、オルゴール付きは珍しいです。
うちの技術者が修理したのですが、歯車の軸受け(ホゾ)の磨耗がひどく、全部のホゾをたがねでたたいて穴つめしたとのことです。
もちろんオルゴール部分もオーバーホールし、時計部分もオーバーホール、穴つめ、天真磨きをし、精度としては、日差1分から2分位で、この機構としては、こんなもんだと思います。
技術者が言うには、ゼンマイを入れ込むとき、このサイズの治具がなく、針金で作って入れるとき、手が痛かったところが苦労したとのことです。

この式の脱進機はピンレバー式脱進機といい、戦前によく作られたそうです。
社長(昭和11年生まれ)が、修理を始めた昭和34年ころには、すでにあったそうです。
ピンレバー式脱進機は耐久性は悪いがコストダウンを実現したタイプで、ゼンマイ式目覚まし時計によく使われ、精度は当時すでにクラブツース式脱進機が出ていたので、それより少し劣るくらいだと思います。